この おはなし を よみました ♪

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『 ゆき 』 ちゅうごく の むかしばなし  


ゆき

 

 むかし むかし、 ふゆ が きて さむくなると、 ゆき の かわりに おさとう や こむぎこ の ふってくる むら が ありました。

その むら では、 はじめの ひ に こむぎこが ふってくると、 その つぎの ひ は、 おさとうが たくさん ふってくる のです。

おさとう と こむぎこ が、 かわりばんこ に そら から ふってくる、 そんな ひが、 とおか も じゅうごにち も つづくのです。

「やあ、 ことし も ふってきた ぞ、 しろい こな が」

こむぎこ の しろい こなが ふりだすと、 むらの ひとたち は、 おけ や みずがめ や、 そのほか、 いろんな いれもの を もちだして、 せっせと こな を あつめます。

そして それを ふくろに いれて、 おおきな くら に、 いっぱい こなの はいった ふくろを つめこみます。

「やあ、 きょうは あまい さとう だぞ」

おさとう も こむぎこ と おなじで、 すな や つち が まじらないように、 きれいに あつめて おきます。

こうして、 いちねんぶん の おさとう と こむぎこ を たくわえてしまうと、 むらの ひとたちは、 あそんで くらせば いい のです。

「やあ、 けっこう、 けっこう。 ことしも はたらかなくて いい わけ だ」

「ほんとうに ありがたい ねえ。 まいにち ねころがって いれば いいんだから」

この むらの ひとたちは、 ほかの むらの ように、 はたけを たがやして むぎ や まめを つくろうと しません。

おなかが すいたら、 おだんご や さとうがし を つくって たベれば いいわけです から。

ところが、 まえの としの こむぎこ や おさとうが、 くらに たくさん のこっている うえに、 ことしの ぶんが あつまる もの ですから、 いれる ところが なくて、 はみだして しまいます。

そうなると、 むらの ひとたちの こころの なかに、 ありがたい と いう きもちは すっかり なくなって、 こむぎこ や おさとうを そまつ に するように なりました。

こどもたち まで、 こむぎこを おだんご に して、 いし の ように なげてみたり、 いけに おさとうを ながして あそんだり しました。


やがて、 ことしも ふゆが やってきました。

けれども、 むらの ひとたちは、 そら からの おくりもの を まっては いません。

もう ありあまるほど、 まえの としの ぶんが のこって いたから です。

そのうちに、 また しろい こなが ふって きました。

みるみるうち に、 あたり いちめん まっしろに つもりました。

そのとき、 そとで あそんでいた こどもたちが さけびました。

「あれー! さとう じゃない ぞー!」

「こむぎこ でも ない ぞー!」

「つめたい、 つめたい、 つめたい!」

「くちの なかへ いれたら、 とけて なくなる よー!」

それを きいて、 おとなたち も そとへ とびだしてきました。

「ほんとう だ。 つめたくて、 くちに いれると とけてしまう ぞ!」

そらから ふってきた しろい こな、 それは、 ふつうの ゆき だったのです。

そして そのつぎ の としも、 また つぎの としも、 おさとう や こむぎこ は ふって きません でした。

やがて、 たくわえて あった おさとう や こむぎこ も ついに なくなり、 すっかり なまけもの に なってしまった ひとたちは、 たいへん こまった と いうことです。
 

 おしまい

 

 

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