この おはなし を よみました ♪
『しゃみせん の き』
にほん の むかしばなし (あきたけん の みんわ)
しゃみせん の き
むかし むかし、 ある ところに、 とても じょうず な しゃみせん ひき の おじいさん が いました。
♪てんてんてん
♪てこてこ、しゃんしゃん
と、 ひきながら あっち の むら、 こっち の むら へ と まわり、 みんな から おかね を もらって くらして いました。
ある ふゆ の こと、 いつも の ように しゃみせん を ひきながら むら はずれ の みち まで くると、 ゆき が ふって きました。
(ああ、 これ は たいへん だ)
ゆき は だんだん はげしく なって、 ひどい ふぶき に なりました。
(どこか に、いえ でも…)
まわり を みて みました が、 どこ にも いえ が ありません。
おじいさん が しゃみせん を かかえながら とぼとぼ あるいて いると、 め の まえ に おおきな き が たって いました。
ふと みると、 みき の ところ に ひと が はいれる ぐらい の あな が あいて います。
(こいつ は、 ありがたい)
おじいさん は、 さっそく その あな の なか へ はいり ました。
あな の なか は おもった より あたたかくて、 いい きもち です。
おじいさん は くたびれて いた ので、 だんだん ねむく なってきました。
(いかん いかん! こんな ところ で ねむったら、 しんで しまうぞ)
おじいさん は しゃみせん を かかえる と、 ねむけざまし に ひき はじめました。
♪てんてんてん
♪てこてこ、しゃんしゃん
ところが ゆき は しゃみせん の おと に あわせる ように、 ますます はげしく ふって きます。
おじいさん は しゃみせん を ひく のを やめて、 ゆき が ふる のを ぼんやり と ながめて いました。
もう、 ねむくて ねむくて たまりません。
それでも しばらく め を あけて いました が、 そのうちに ぐっすりと ねむりこんで しまいました。
なんにち も なんにち も ねむり つづけて いるうち に、 き は どんどん おおきく なって、 おじいさん を なかに いれたまま、 あな を ふさいで しまったのです。
おじいさん は それっきり、 もう にど と め を さます こと は ありません でした。
さて、 やがて ふゆ が おわり、 はる が やって きました。
「しゃみせん ひき の おじいさん は、 どうした のかな?」
「そういえば、 ちかごろ は さっぱり すがた を みせなく なった な」
どの むら でも、 おじいさん の うわさ を していました が、 その おじいさん が どこから きて、 どこ へ かえって いくのか、 だれも しらなかった のです。
ある ひ の こと、 ちかく の むらびと が この き の した を とおりかかり ました。
すると、 あたたかい はる の かぜ が ふいてきて、 き の はっぱ が さわさわ と ゆれました。
その とき です。
♪てんてんてん
♪てこてこ、しゃんしゃん
どこから とも なく、 しゃみせん の おと が きこえて きました。
(あっ、 しゃみせん ひき の おじいさん が きた ぞ)
むら の ひと は ふりかえり ました が、 だれ も いません。
(おかしい な?)
すると また かぜ が ふいてきて、 き の はっぱ が さわさわ と ゆれ、 き の なか から
♪てんてんてん
♪てこてこ、しゃんしゃん
と、 いう しゃみせん の おと が きこえました。
(き だ。 この き から きこえる ぞ)
そんな こと が あって から、 むらびと たちは この き を 『しゃみせん の き』 と よぶように なりました。
この ふしぎ な き は、 かぜ で き の はっぱ が さわさわ と ゆれる たび に、
♪てんてんてん
♪てこてこ、しゃんしゃん
と、 なりつづけました が、 やがて あき に なり、 き の はっぱ が すべて ちりおわる と、 それからは ならなくなった と いうこと です。
おしまい
If you want to read the Japanese sentence with 漢字, click the picture of story, please^^
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