むかし むかし、ふなのり　の　しんどばっど　と　いう　わかもの　が、　ふね　に　のって　しょうばい　を　しながら、　しま　から　しま　へ　と　わたり　あるいて　いました。

そして　そう　こう　する　うち　に、　ある　うつくしい　しま　へ　たどりつき　ました。

だれ　も　すんで　いない　しずか　な　ところ なので、 なかま と いっしょに、 けしき を ながめ ながら あるき まわって　みました。

しばらく　いくと　きれい　な　いずみ　が　あり、　しんどばっど　たち　は　いずみ　の　そば　で　ひとやすみ　しました。

つかれて　いた　のか、　しんどばっど　は　そのまま　ぐっすり　と　ねむって　しまいました。

ふと　め　が　さめて　みると、　なかまたち　は　だれ　も　おらず、　ふね　は　しんどばっど　を　おきざり　に　して　でてしまった　あと　でした。

「しまった！」

びっくり　して　たかい　き　に　よじのぼり、　うみ　を　みわたしました　が　ふね　は　もう　いません。

「ちくしょう。　いったい　どうすれば　いい　のだ！　・・・おや？　なんだろう？」

りく　の　ずっと　むこう　に、　なにかしら　しろい　おおきな　もの　が　みえました。

しんどばっど　が　いってみる　と、　それは　すばらしく　りっぱ　な　まるい　たてもの　で、　とても　すべすべ　して　います。

「いりぐち　は　どこ　だろう？」

たてもの　の　まわり　を　ぐるり　と　まわって　みました　が、　どこ　にも　いりぐち　が　ありません。

そのとき　とつぜん　あたり　が　くらく　なった　ので、　しんどばっど　が　そら　を　みあげる　と、　とても　おおきな　とり　が　とんで　いました。

その　とり　は　るふ　と　いう　な　で、　ひなどり　に　とり　に　ぞう　を　たベさせて　そだてる　と　いう、　ものすごい　とり　だった　のです。

この　しろい　まるい　たてもの　みたい　な　もの　は、　この　るふ　の　たまご　だった　のです。

まいおりた　るふ　は、　たまご　を　あたため　はじめました。

しんどばっど　は　あたま　に　まいて　いた　たーばん　を　とると、　それで　じぶん　の　からだ　を　がっちり　と　るふ　の　あし　に　しばりつけました。

こうして　おけば、　にんげん　の　すんで　いる　くに　へ　はこんで　いって　くれる　と　かんがえた　のです。

よる　が　あける　と、　るふ　は　かみなり　の　ような　なきごえ　を　たてて、　おおぞら　たかく　まいあがり　ました。

そして　しばらく　とびまわった　のち、　ようやく　じめん　に　おりました。

しんどばっど　は　てばやく　たーばん　を　ほどいて、　じめん　に　おりたち　ました。

るふ　は　まるた　の　ような　もの　を　つめ　に　ひっかける　と、　どこか　へ　とんで　いって　しまいました　が、　よく　みる　と　おおきな　おおきな　へび　でした。

そして　しんどばっど　が　おろされた　ところ　は、　たかい　やま　と　やま　と　の　たにあい　でした。

「さて、　ここ　から　ぬけだす　には、　どうしたら　いい　かな？」

しんどばっど　が　かんがえながら　あるいて　いくと、　じめん　いちめん　に　だいやもんど　が　ころがって、　きらきら　と　ひかり　かがやいている　ところ　に　でました。

「わあ、　すごい　すごい！」

と、　しんどばっど　は　よろこび　ました　が、　まえ　に　いるもの　を　みて　びっくり。

なんと　め　の　まえ　には、　ぞう　でも　まるのみ　に　しそうな　おおきな　へび　が、　なんびき　も　なんびき　も　とぐろ　を　まいて　いた　のです。

「このまま　じゃあ、　だいじゃ　に　たべられて　しまう。　どこか　へ　かくれなきゃ」

しんどばっど　は　その　よる、　ちいさな　ほらあな　に　はいって　ねました。

よる　が　あけると、　すぐに　この　おそろしい　たにま　から　にげだそう　と、　あちこち　しらベて　まわりました。

すると　とつぜん、　ずしーん！　と、　おおきな　ひつじ　の　にく　が　おちて　きた　のです。

しんどばっど　は　こし　が　ぬけるほど　びっくり　しました　が、　この　にく　は、　だいやもんど　を　とる　しょうにん　が　なげた　えさ　だ　と　いうこと　が　すぐ　わかりました。

まず、　この　にく　の　かたまり　に　だいやもんど　が　くっつきます。

そこへ　わし　や　はげたか　が　えさ　に　しよう　と、　だいやもんど　の　くっついた　ひつじ　の　にく　を　つめ　に　ひっかけて　やま　の　てっペん　まで　とんで　いきます。

そして　まちかまえて　いた　しょうにんたち　が　おおごえ　を　あげて　おどかす　と、　とり　は　びっくり　して　にく　を　すてて　にげます。

そのあと　にく　に　くっついて　きた　だいやもんど　を　とる、　と　いうわけ　です。

ずしーん！

また、　おおきな　にく　の　かたまり　が　おちて　きました。

しんどばっど　は　ちかく　に　ころがって　いる　だいやもんど　の　なか　から、　おおきい　の　を　ぽけっと　に　つめこめるだけ　つめこむ　と、　にく　の　かたまり　を　たーばん　で　じぶん　の　からだ　と　いっしょに　ゆわえつけ　ました。

まもなく　おおきな　はげたか　が　まいおりて　きて、　にく　の　かたまり　と　いっしょ　に　しんどばっど　を　つめ　に　ひっかけて、　やま　の　てっペん　に　あがりました。

そのとき、　さわぎ　たてる　にんげん　の　こえ　が　わきおこり、　びっくり　した　はげたか　は　にく　を　すてて　にげて　いきました。

にく　の　そば　へ　はしりよった　しょうにんたち　は、　にく　の　した　から　はいだして　きた　しんどばっど　を　みて　め　を　まるく　しました。

しんどばっど　は　しょうにんたち　に　いままで　の　はなし　を　して　から、　ぽけっと　の　だいやもんど　を　わけて　やりました。

しょうにんたち　は　よろこんで、　しんどばっど　の　ため　に　ふね　を　ようい　して　やり、　しんどばっど　は　その　ふね　に　のって、　ぶじ　に　じぶん　の　いえ　に　かえる　こと　が　できた　のでした。

おしまい