この おはなし を よみました ♪

『お月さまのおつかい』

『 おつきさま の おつかい 』 

にほん の むかしばなし  (こうちけん の みんわ)


おつきさま の おつかい

 

むかし むかし、 ある やま の うえ で、 うさぎ の きょうだい が うた を うたいながら もち を ついて いました。

♪うさぎ の もちつき ぺったんこ

♪ぺたぺた ぺたぺた ぺったんこ

♪おいしい おもち が つけた なら

♪おつきさま に あげたいな
 
すると、 それ を きいた さる が、 よだれ を こぼしながら かんがえ ました。

(なんて、 うまそう な もち だろう。 どうにかして、 あの もち を て に いれる ほうほう は ない かな?)

そこで さる は、 えらそう に むね を はって うさぎたち の まえ に でて いき、

「これ、 そこ の うさぎたち。 わたし は おつきさま の おつかい じゃ。

さっき、 その おもち を おつきさま に あげたい と もうして おった が、 わたし が その おもち を おつきさま に とどけて やろう」

と、 いいました。

すると うさぎ の きょうだい は、

「そいつ は、 ありがたい」

「ぜひ、 おつきさま に とどけて ください」

と、 おおよろこび で いっしょうけんめい に もち を つきました。

ところが あんまり つきすぎた ため、 もち が うす に くっついて しまい、 どうやっても はなれない のです。

それ を みて、 さる が いいました。

「はやく しないと、 おつきさま に とどけて やらない ぞ」

「はい。 ただいま」

うさぎ の きょうだい は あわてて うす から もち を ひっぱり だそう と します が、 もち は なかなか はなれません。

いらいら した さる は、 うさぎ の きょうだい に いいました。

「ええい、 しかたがない。 それでは うす ごと おつきさま に おもち を とどけて やろう。

せおう から、 それ を わたし の せなか に のせて くれ」

「はい」  「それでは」
 
うさぎ の きょうだい が さる の せなか に うす を のせる と、 さる は とたんに はしりだして、 あかい した を ぺろり と だしながら いいました。

「えっへへ。 うまく いった ぞ。 ばか な うさぎ め、 こんな ところ に おつきさま の つかい が いる はず ない のに。

さあ、 あと で ゆっくり たべよ」

さる は こごえ で いった の です が、 うさぎ は みみ が おおきい ので、 その こごえ が きこえた のです。

「なんだって! よくもだましたな!」

「こら、 まてえ! この うそつき ざる め!」

おこった うさぎ の きょうだい は、 さる を おいかけ ました。

「ふん、 だれ が まつ もんか!」

さる は おもい うす を かついで、 ひっし に はしって いきました。

でも、 うさぎ は あし が はやい どうぶつ なので、 やがて さる に おいついて いいました。

「さるさん、 さるさん。 そんなに はしったら、 ころんで しまい、 せっかく の おもち が どろ だらけ に なって しまう よ」

「そう だ よ。 もう おこって いない から、 はしる の を やめな よ。 おもち を、 はんぶんこ に して あげる から さ」

「えっ? ほんとう に、 はんぶん くれる の かい?」

「ああ、やるとも」  「やくそく する よ」

それ を きいて さる は ほっと して、 あし を とめて うす を じめん に おろしました。

その とたん、 うさぎ の きょうだい は さる の おしり を おもいっきり けとばしました。

「この うそつき ざる め!」

「 だれ が おまえ なんか に、 おもち を あげる もの か!」

すると さる は やまみち を ころころ ころがって いき、 おしり を すりむいて、 おしり が まっか に なって しまった のです。

それから です、 さる の おしり が あかく なった の は。     

 

おしまい

 


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