この おはなし を よみました ♪
『ねて いる だけ の しごと』
にほん の むかしばなし (わかやまけん の みんわ)
ねて いる だけ の しごと
むかし むかし、 あるところ に、 はたらく の が だいきらい な おとこ が いました。
まいにち まいにち、 おとこ は いえ で ねて ばかり いた の で、 つい に おかね も おこめ も なくなって しまいました。
(なに も かも、 なくなって しまった な。 まあ、 はたらかない と いけない の は わかる が、 あせみず たらして はたらく なんて、 まっぴら ごめん だ。
・・・ああ、 どこかに、 ねている だけ の しごと は ない か なあ)
おとこ が、 そんな つごう の いい しごと を さがし に そと を あるいて いる と、 むこう から みせものごや の おやかた が やって きました。
この みせものごや の おやかた は、 めずらしい どうぶつ を みせる しょうばい を している の です。
「なあ おやかた、 どこか に、 ねている だけ で かね も ごはん も もらえる しごと は ない か?」
とんでもない そうだん ですが、 それ を きいた おやかた は て を たたいて いいました。
「ある、 ある、 ある ぞ! じつ は いま、 そんな しごと を して くれる ひと を さがして いた ところ だ」
「へえ。 そいつは ありがたい。 おやかた、 ぜひとも わし に、 その しごと を させてくれ」
「いいとも、 しごとば まで ついて こい」
おとこ は よろこんで、 おやかた の あと に ついて いきました。
おやかた は まちはずれ で、 らいおん や とら の みせものごや を ひらいて いました。
「へえ、 これが みせものごや か。 ・・・ところで、 おれは どんな こと を すれば いいんだ?」
「なあに、 かんたん さ。 ただ、 この おり の なか で ねている だけ だ よ」
「なんだって?! らいおん や とら と いっしょ に か?!」
びっくり する おとこに、 おやかた は こえ を ひそめて いいました。
「しんぱい する な。 じつ は な、 すこし まえ に みせもの の とら が しんで しまって、 こまって いた ところ なんだ。
その とら の かわ を はいで ある から、 おまえさん は それ を きて、 おり の なか で ねて いて くれれば いい」
「なんだ、 とら の みがわり か」
「そう いう こと だ。 ただ ねて いる だけ で、 とこどき えさ を もらい、 おまけ に おかね まで もらえるんだ。 いい はなし だろう」
「たしか に。 なまけもの の おれ に ぴったり の しごと だな」
そんな わけ で、 おやかた は さっそく おとこ に とら の かわ を きせて、 おり の なか へ と いれました。
とら の みがわり は たしか に らく な しごと で、 あっというま に みせものごや が おわる さいご の ひ と なりました。
(ああ、 らく な しごと だった な)
おとこ が ね ながら そう おもって いる と、 あつまって きた ひとたち に おやかた が いいました。
「さあ、 はいった、 はいった。 きょう で もう おしまい だよ。
さて、 そこで さいご に、 とら と らいおん を ひとつ の おり に いれて、 けんか を させて みせよう では ない か」
そう いって おやかた は、 となり の おり に いれて いた らいおん を、 とら の けがわ を きた おとこ の いる おり に つれて きたのです。
さあ、 とら の けがわ を きた おとこ は びっくり です。
おとこ は にげだそう と しました が、 きょうふ に あし が すくんで うごけません。
(わあ わあ、 もう だめ だ!)
おとこ は おもわず、 め を つむり ました。
すると らいおん が おとこ の そば へ きて、 ちいさな こえ で いいました。
「しんぱい する な。 わし も にんげん じゃ。 らいおん の かわ を きて、 みがわり の しごと を して いるんだ」
すると おとこ は あんしん して、 じぶん が とら に なって いる こと も わすれて たちあがる と、
「いやあ、 たすかった。 なんだ、 あんた も にせもの だった の か」
と、 いって しまい、 にひき の もうじゅう が いんちき だった こと が ばれて しまった のです。
おしまい
If you want to read the Japanese sentence with 漢字, click the the picture of story, please^^
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