この おはなし を よみました ♪
『まっち うり の しょうじょ』 あんでるせん どうわ
まっち うり の しょうじょ
むかし むかし ゆき の ふりしきる おおみそか の ばん、
みすぼらしい ふく を きた まっちうり の しょうじょ が、 さむさ に ふるえながら、 いっしょうけんめい とおる ひと に よびかけて いました。
「まっち は いかが。 まっち は いかが ですか。 だれか、 まっち を かって ください」
でも、 だれも たちどまって くれません。
「おねがい、 いっぽん でも いいんです。 だれか、 まっち を かって ください」
きょう は まだ、 いっぽん も うれて いません。
ばしょ を かえよう と、 しょうじょ が あるき はじめた とき です。
め の まえ を いちだい の ばしゃ が はしりぬけ ました。
あぶない!
しょうじょ は あわてて よけよう と して、 ゆき の うえ に ころんで しまい、 その はずみ に くつ を とばして しまいました。
おかあさん の おふる の くつ で、 しょうじょ の あし に は おおき すぎ ました が、 しょうじょ の もって いる、 たった ひとつ の くつ なの です。
しょうじょ は あちら こちら さがし ました が、 どうしても みつかりません。
しかたなく、 はだし の まま で あるき だし ました。
つめたい ゆき の うえ を いく うち に、 しょうじょ の あし は ぶどう いろ に かわって いきました。
しばらく いくと、 どこから か にく を やく におい が して きました。
「ああ、 いい におい。 ・・・おなか が すいた なあー」
でも、 しょうじょ は かえろう と しません。
まっち が いっぽん も うれない まま いえ に かえっても、 おとうさん は けっして いえ に いれて くれません。
それどころか、
「この、 やくたたず め!」 と、 ひどく ぶたれる のです。
しょうじょ は さむさ を さける ため に、 いえ と いえ と の あいだ に はいって しゃがみこみ ました。
それでも じんじん と こごえそう です。
「そうだわ、 まっち を すって あたたまろう」
そう いって、 いっぽん の まっち を かべ に すりつけ ました。
しゅっ。
まっち の ひ は、 とても あたたか でした。
しょうじょ は いつのまにか、 いきおい よく もえる すとーぶ の まえ に すわっている ような き が しました。
「なんて あたたかいんだろう。 ああ、 いい きもち」
しょうじょ が すとーぶ に て を のばそう と した とたん、 まっち の ひ は きえて、 すとーぶ も かきけす ように なくなって しまいました。
しょうじょ は また、 まっち を すって みました。
あたり は、 ぱあー っと あかるく なり、 ひかり が かべ を てらす と、 まるで へや の なか に いるような きもち に なりました。
へや の なか の てーぶる には、 ごちそう が ならんで います。
ふしぎ な こと に、 ゆげ を たてた、 がちょう の まるやき が、 しょうじょ の ほう へ ちかづいて くる のです。
「うわっ、 おいしそう」
そのとき、 すうっと まっち の ひ が きえ、 ごちそう も へや も、 あっというま に なくなって しまいました。
しょうじょ は がっかり して、 もう いちど まっち を すりました。
すると どう でしょう。
ひかり の なか に、 おおきな くりすます つりー が うかび あがって いました。
えだ には かぞえきれない くらい、 たくさん の ろうそく が かがやいて います。
おもわず しょうじょ が ちかづく と、 つりー は ふわっと なくなって しまいました。
また、 まっち の ひ が きえた のです。
けれども、 ろうそく の ひかり は きえず に、 ゆっくり と、 そら たかく のぼって いきました。
そして それが、 つぎつぎ に ほし に なった のです。
やがて その ほし の ひとつ が、 ながい ひかり の お を ひいて おちて きました。
「あっ、 いま、 だれか が しんだんだ わ」
しょうじょ は、 しんだ おばあさん の ことば を おぼえて いました。
「ほし が ひとつ おちる とき、 ひとつ の たましい が かみさま の ところ へ のぼって いくんだ よ」
しょうじょ は やさしかった おばあさん の こと を おもいだし ました。
「ああ、 おばあさん に、 あいたい なー」
しょうじょ は また、 まっち を すりました。
ぱあー っと、 あたり が あかるく なり、 その ひかり の なか で だいすき な おばあさん が ほほえんで いました。
「おばあさん、 わたし も つれてって。 ひ が きえる と いなくなる なんて いやよ。
わたし、 どこにも いく ところ が ない の」
しょうじょ は そう いいながら、 のこって いる まっち を、 いっぽん、 また いっぽん と、 どんどん もやし つづけ ました。
おばあさん は、 そっと やさしく しょうじょ を だきあげて くれました。
「わあーっ、 おばあさん の からだ は、 とっても あったかい」
やがて、 ふたり は ひかり に つつまれて、 そら たかく のぼって いきました。
しんねん の あさ、 しょうじょ は ほほえみ ながら しんで いました。
あつまった まち の ひとびと は、
「かわいそう に、 まっち を もやして あたたまろう と して いたんだ ね」
と、 いいました。
しょうじょ が まっち の ひ で おばあさん に あい、 てんごく へ のぼった こと など、 だれも しりません でした。
おしまい
If you want to read the Japanese sentence with 漢字, click the picture of story, please^^
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