この おはなし を よみました ♪
『まほうつかい の でし』 どいつ の むかしばなし
まほうつかい の でし
むかし むかし、 まほうつかい と その でし が、 ふたり で すんでいました。
あるひ の こと、 まほうつかい は でかける とき に、 でし に いいつけました。
「ふろ の みず を、 いっぱい に して おく よう に」
まほうつかい の すがた が みえなく なると、 でし は そふぁー に ごろん と よこ に なりました。
「あーあ、 かわ から ばけつ で みず を くんできて、 ふろ を いっぱい に しておく なんて めんどう だ なあ。
まいにち まいにち しごと を やま ほど いいつけられて、 いや に なっちゃう よ。
・・・そうだ!」
でし は、 ある めいあん を ひらめき ました。
「そう そう、 ぼくは まほうつかい の でし なんだ。 こういう とき こそ、 おぼえた まほう を つかって みなきゃ」
でし は そふぁー から とびおきる と、 ほうき に むかって まほう の ことば で めいれい しました。
「ほうき よ、 ほうき。 かわ の みず を ばけつ で くんで こい。 そして その みず を、 ふろ に いれるのだ!」
すると ほうき から ちいさな て が でてきて、 りょうて に ふたつ の ばけつ を つかむと、 ひょっこり、 ひょっこり と あるき だした のです。
「よし、 うまく いった ぞ! これで ぼくも いちにんまえ の まほうつかい だ!」
でし は、 おおよろこび です。
まほう の ほうき は ばけつ を さげて、 かわ へ はしって いきます。
そして かわ の みず を ばけつ に くむ と、 ひょっこり、ひょっこり と もどって くる では ありませんか。
でし は、 うれしくて たまりません。
まほう の ほうき は、 くんで きた みず を ふろ に ざざーっと いれると、 また いえ を でて かわ へ はしって いきます。
「ああ、 らくちんだ ったら、 らくちん だ。 まほう を つかえば、 らくちん だ!」
でし は ばけつ を もって なんども いったり きたり する まほう の ほうき に、 てびょうし を とりながら おどりました。
ふろ の みず は、 あっというま に いっぱい に なりました。
「さあ、 おわった ぞ」
でし は にっこり わらって、 そふぁー で また ひるね を しよう と おもいました。
ところが、 まほう の ほうき は とまりません。
ふろ の みず は いっぱい で、 もう あふれて しまうと いうのに、 ばけつ に みず を くんで きて は ふろ に いれるのです。
ふろ から あふれた みず が、 ろうか に ながれでました。
「ああ、 やめろ! もう おしまい だってば!」
でし が めいれい します が、 ほうき は いうこと を ききません。
もう いえ の いっかい は、 ぷーる の ように みず が たまって いました。
「このまま じゃあ、 おこられて しまう よ。
・・・えーと、まほう を とく ことば は なんだっけ? ・・・えーと、 えーと」
どうしても、 まほう を とく ことば が おもいだせ ません。
「ええーい、 こう なれば、 ほうき を こわして やる!」
でし は おの を もってくる と、 まほう の ほうき を まっぷたつ に きりました。
その とたん、 まほう の ほうき は ふたつ に ふえて、 いま まで の にばい の みず を はこんで くるのです。
「えい! えい! はやく とまれ!」
でし が おの で ほうき を きる たび に、 ほうき は どんどん ふえて いって、 どんどん みず を はこんで きます。
「あーん、 これ じゃ、 おぼれちゃう よー」
でし は にかい へ にげよう と、 かいだん を かけのぼり ました。
その とき、 まほうつかい が かえって きました。
「なんだ これ は! さては、 でし の しわざ だな」
びっくり した まほうつかい は、 あわてて まほう の ことば を となえました。
「ほうき よ、 とまれ! みず よ、 きえろ!」
その とたん、 ふろ から あふれた みず は ぱっ と なくなり、 ほうき も もと の ほうき に もどりました。
「あの、 その、 ・・・ごめんなさい」
かいだん の てすり に しがみついて いた でし は、 まほうつかい に あやまりました。
まほうつかい は でし の あたま を こつん と たたく と、おおきな ためいき を ついて いいました。
「やれ やれ、 ふろ の みずくみ を いやがる ようじゃ、
いちにんまえ の まほうつかい に は なれない ぞ」
おしまい
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