こあら の しっぽ が みじかい わけ

 

むかし　むかし　の、　おーすとらりあ　の　おはなし　です。

かんがるー　の　ぼらー　と、こあら　の　こあぼん　は、　とても　なかよし　でした。

いつも　いっしょ　に、　えさ　を　さがし　に　いきました。

あるとき、　あめ　が　あまり　ふらない　ので、　あたり　いちめん、　すっかり　かわききって　しまいました。

き　も　くさ　も　かれて　しまい、　にんげん　も　どうぶつ　も　いきて　いられなく　なりました。

けれども、　かんがるー　の　ぼらー　と　こあら　の　こあぼん　は、　みず　の　ある　あなぐら　を　しって　いました。

そして、　その　あな　の　そば　で　くらして　いました。

ところが　その　あなぐら　にも、　みず　の　なくなる　とき　が　やって　きました。

かんがるー　の　ぼらー　も、　こあら　の　こあぼん　も、　のど　が　かわきすぎて、　ひりひり　と　いたみ　ました。

ふと、　かんがるー　の　ぼらー　が　いいました。

「ずっと　まえ、　ぼく　が　まだ　おかあさん　の　おなか　の　ぽけっと　に　はいって　いた　ころ、　やっぱり　みず　が　なくなった　こと　が　あるんだ　よ。

そのとき　おかあさんは　みず　を　さがして、　あっちこっち　あるき　まわったんだ。

ほか　の　かんがるー　たちは、　

『あかんぼう　を　ぽけっと　から　だして、　すてちゃいなさい。

そう　すれば、　みず　を　さがす　の　も　らく　です　よ』　って、　すすめた　けど、

おかあさん　は　ぼく　を　しっかり　おなか　の　ふくろ　に　いれて　おいて　くれたっけ。

ずいぶん　あるいて　から、　おかあさんは　みず　の　なくなった　かわ　へ　ついた　よ。

そこで　おかあさん　たら、　からから　に　かわいた　すな　を　ほりはじめたんだ。

うんと　ながいこと　ほったら、　あな　の　そこ　から　みず　が　にじみ　でて　きたんだ。

そして　おかあさん　の　ほった　あな　に　だんだん　みず　が　たまって、　ぼくたち　は　みず　を　のむ　こと　が　できたんだ　よ」

「そいつ　は　すばらしい！　すぐ、　かわ　を　さがし　に　いこう　よ」

と、　こあら　の　こあぼん　が　いいました。

ふたり　は、　みず　を　さがす　たび　に　でました。

そして　ようやく、　かわ　の　どて　に　つきました。

かわ　には、　ひとしずく　の　みず　も　ありません。

かわぞこ　には、　かわいた　すな　が　ある　きり　でした。

かんがるー　の　ぼらー　は、　おかあさん　の　てつき　を　おもいだし　ながら、　すな　を　ほりはじめ　ました。

ながいこと　ながいこと　ほった　ので、　とうとう　かんがるー　の　ぼらー　は、　くたくた　に　なって　しまいました。

そこで、　こあぼん　に、　「おい、　こんど　は　きみ、　やってくれ　よ」　と、　たのみました。

こあら　の　こあぼん　は、　はたらく　のが　だいきらい　です。

「ぼく、　なんだか　きぶん　が　わるいんだ」　と、　うそ　を　つきました。

「そうか。　それなら　いい　よ」

ぼらー　は　しかたなく、　ひとやすみ　して　から　また、　すな　を　ほりました。

かんがるー　の　ぼらー　の　て　は、　とても　しびれて　きました。

そのうち　に　ようやく、　あな　の　そこ　に　みず　が　にじみでて　きました。

みず　は　だんだん　あな　に　たまって、　みずたまり　が　できました。

かんがるー　の　ぼらー　は、　いそいで　なかよし　の　こあら　の　こあぼん　の　ところ　へ　とんで　いきました。

「おい、　みず　が　でた　よ！」　

ぼらー　の　こえ　を　きく　と、　びょうき　の　ふり　を　して　いた　こあぼん　は　とびおき　ました。

こあぼん　は　みずたまり　に　とんで　いく　と、　あたま　を　つっこんで、　がぶがぶ　と　のみ　はじめ　ました。

あな　の　うえ　に、　こあぼん　の　しっぽ　だけ　が　のぞいて　いました。

「きぶん　が　わるい　と　いって　いた　くせ　に、　よくも　だました　な」

かんがるー　の　ぼらー　は、　だまされた　こと　に　き　が　ついて、　かんかん　に　おこりました。

それで、　あな　の　うえ　に　ちょこん　と　でている　こあぼん　の　しっぽ　を、　ちょきん　と　きって　しまった　のです。

こあら　の　しっぽ　が　みじかく　なった　のは、　こういう　わけ　なの　です。

 

 おしまい