この おはなし を よみました ♪
『 じゅうごや の つき は 』 にほん の むかしばなし えど こばなし
じゅうごや の つき は
むかし むかし やまでら の おしょうさん が、 こぞうさん を よびました。
「これ、ちんねん や」 「はい」
「きょう は しょうや さま の いえ で よりあい が あるで、 おまえ を おとも に つれて いく ぞ」
「はーい」
「それで じゃ、 おちゅうしょく には、 この もち を もって いこう」
「ほとけさま に おそなえ した、 やわらかい まるい おおきな おもち です ね」
「さよう。 ところで わし は、 じゅうしょく。 ひとさま の うえ に たつ み じゃ。
おおぜい の まえ で 『おちゅうしょく どき じゃ。 もち を だせ』 とは、 いいにくい」
「はい。 これ は、 ほとけさま の おもち」
「まあ、 だまって おれ。 それでな、 わし が おちゅうしょく に なったら
『じゅうごや の つき は』 と、 おまえ に いう から、 その とき は そっと、 わし に もち を わたす の じゃ」
「はい」 「わかったな」
「はい。 おしょうさま が 『じゅうごや の つき は』 と いったら、 この もち を だすんです ね」
「さよう、 さよう」
おしょうさんは、 (われながら、 ふうりゅう な おもいつき じゃ)
と、 ほくほく しながら、 ちんねん に もち を もたせて よりあい に でかけて いった のです。
みちみち、 ちんねん は おしょうさん の あと から ついて きました が、 どうも ふところ の もち が き に なって しょうがありません でした。
(いくら おしょうさん が けちんぼう でも、 この もち の はんぶん は、 わけて くださる じゃろう。
・・・いや、 はんぶん の はんぶん かな。
・・・いや、 ほんの ひとくち かな。
・・・いや、 ぜんぜん くれない かも )
そんな こと を おもう と、 いっそう ふところ が き に なって きます。
そのうち ちんねん は、 ときどき ふところ に て を いれて なにか を はじめました。
さて、 しょうやさま の いえ に つく と、 もう むら の しゅう が おおぜい あつまって いました。
いろいろ と そうだん ごと を して いる うち に、 おちゅうしょく どき に なって しまいました。
おしょうさん は、 みな の かお を ぐるっと みまわして から、
「ちんねん、 じゅうごや の つき は」 と、 いいました。
すると ちんねん は、 ふところ から とりだした もち を ぐいっと おしょうさん の まえ に つきだして、
「くも に かくれて、 ここ に みかづき」
と、 いいました。
つきだされた おもち は、 おおかた ちんねん の おなか に はいって しまい、 みかづき ほど に なって いました。
おしまい
If you want to read the Japanese sentence with 漢字, click the the picture of story, please^^
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