この おはなし を よみました ♪
『じゃっく と まめ の き』 いぎりす の むかしばなし
じゃっく と まめ の き
むかし むかし、 じゃっく と いう なまえの おとこのこ が、 おかあさんと ふたりで くらしていました。
じゃっく の おとうさんは じゃっく が ちいさい ころに、 くも の うえ から やってきた おおおとこ に たべられて しまったのです。
そのとき から じゃっく は いえに いっとう だけ いる うし の みるく を しぼって まちに うりに いき、 その おかね で くらし を たすけていました。
けれど その うしも としを とった ので、 とうとう みるく を ださなく なって しまいました。
「しかたない わ ね。 この うしを うって、 おかね に かえましょう。 じゃっく、 まちへ うしを うりに いってちょうだい」
「はーい」
おかあさんに たのまれた じゃっくは まちまで うしを ひいて いきました が、 その とちゅう で ひとりの おじさんが じゃっく に こえを かけてきました。
「ぼうや、 その うしと この まめ を とりかえっこ しないかい? これ は ね、 こううん を よぶ まほう の まめ なんだ よ」
「まほう の まめ だって! すごい や。 うん、 とりかえて も いいよ」
じゃっく は まめ を うけとると、 よろこんで いえ に もどりました。
その はなし を きいた おかあさんは、 じゃっく を しかりました。
「まったく、 こんな まめつぶ と うし を とりかえて くるなんて、 あんたは どうかしてる よ」
「でも、 こううんを よぶ まほうの まめ なんだ よ」
「まほう だ なんて、 うそ に きまっている じゃないの! ええい、 こんな もの!」
おかあさんは まめ を とりあげると、 まど から ぽい っと すてて しまいました。
つぎの あさ、 じゃっく が め を さましてみると、 おかあさんの すてた まめ が おおきな き に なっていた のです。
「すごーい。 たかすぎて てっぺん が みえない や。 やっぱり あれは、 まほうの まめ だったんだ。
・・・よし、 うえへ のぼって みよう」
じゃっく は さっそく、 まめ の き を どんどん と のぼりました。
くも を こえても、 まめ の き は まだまだ つづきます。
そして とうとう、 じゃっく は てっぺん に つきました。
そこ には、 おおきな おしろが ありました。
じゃっく が その おしろ を たずねてみる と、 なか から おかみさん が でてきて いいました。
「まあ、 あなた、 いったい どうやって こんな ところまで きたの?
ここは おそろしい ひとくい おおおとこ の いえ よ。 はやく おうち に かえりなさい」
そのとき、 おおおとこの あしおと が きこえて きました。
「しかたがない わ、 こっちに いらっしゃい」
おかみさんは、 じゃっく を だいどころ の かまど に かくしてくれました。
そこへ、 おおおとこが かえってきました。
それは ものすごい おおおとこ で、 さんとう の うしを かたてに ぶらさげています。
「くんくん、 おや? にんげんの においだ。 それも にんげん の こどもの においが する ぞ」
「あら、 そんな ことは ありません よ。 にんげんの こどもは、 おととい たべた ばかり で は ありませんか」
「うむ、 そうだったな」
おおおとこは おかみさんの ことばに なっとく する と、 となりの へや へ いきました。
そして おおおとこは きんか の はいった ふくろを ふたつ とりだすと なか の きんか を かぞえはじめました が、 そのうち に つかれて ねむって しまいました。
「すごい きんか だ。 あれが あれば、 おかあさんが よろこぶ ぞ!」
じゃっく は かまどを でると、 おおおとこ の きんか の ふくろを ひとつ かついで いそいで いえに かえりました。
じゃっく の もちかえった きんかを みて、 おかあさんは おおよろこび しました。
それから しばらくして、 じゃっく は また まめ の き を のぼって おおおとこ の いえに やってきました。
じゃっく が かまど に かくれている と、 おおおとこ が おかみさんに いいました。
「おい、 きん の たまご を うむ めんどり を つれてこい」
おかみさん が めんどり を つれてくると、 おおおとこは てーぶる の うえで きん の たまご を うませました。
きらきら と ひかり かがやく、 ほんもの の きん です。
それを みると、 おおおとこ は また ねむって しまいました。
「よし、 あの めんどり も いただこう」
じゃっく は めんどり を かかえると、 そのまま いえ に かえりました。
きん の たまご を うむ めんどり の おかげで、 じゃっくは たちまち おかねもち に なりました。
でも じゃっく は、 まだ まんぞく して いません。
ほかにも たからもの が ある と おもって、 またまた おおおとこの いえ に やってきたのです。
じゃっく が かまど に かくれていると、 おおおとこは きんの たてごと を もってきました。
その たてごと は おおおとこ が めいれい する と、 ひとりで に おんがく を かなでます。
おおおとこは その たてごと の ねいろ を ききながら、 また ねむって しまいました。
「よし、 こんど は あの たてごと だ!」
じゃっく は たてごと を つかむと、 いちもくさん に にげました。
その とき です。
「だんなさま、 どろぼう です よ!」
おどろいた ことに、 たてごと が おおごえ で しゃべった のです。
「なに! こぞう、 きさま だな。 きんか と めんどり を ぬすんだ の は!
そして こんどは、 たいせつな たてごと を ぬすむ と いうのか。 ゆるさん ぞ、 くってやる!」
おおおとこは じひびき を たてて、 じゃっく を おいかけて きました。
じゃっくは おおいそぎ で まめ の き を おりると、 おかあさんに いいました。
「おかあさん、 はやく、 はやく! はやく おの を もってきて!」
じゃっくは おかあさん から おの を うけとると、 まめ の き に おの を ふりおろし ました。
すると まめ の き の まほう が とけた のか、 まめ の き は もと の まめつぶ に もどって しまいました。
「あーーーーっ!」
まだ まめ の き の とちゅう に いた おおおとこ は たかい そら の うえ から おちてしまい、 そのまま どこかへ きえてしまいました。
それから じゃっくは かわいい およめさん を もらうと、 おかあさんと さんにん で いつまでも しあわせ に くらしました。
おしまい
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