この おはなし を よみました ♪

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 はたらく こと を おぼえた にんげん』  

せかい の むかしばなし   (きゅーば)


はたらく こと を おぼえた にんげん 

  

むかし むかし、 にんげん と いう もの が、 せかい に まだ、 たった ひとり しか いなかった とき の こと です。

たった ひとり の にんげん は、 やからー と いいました。

やからー は、 いちにちじゅう、 あそんで くらして いました。

たいよう が のぼる と おきだして、 あちこち を さんぽ したり、 うみべ ヘ いって、 ことり の ように うた を うたったり しました。

おなか が すけば、 りんご など の くだもの や きのみ を、 すきな だけ たべました。

あるとき、 やま が だいち に いいました。

「わたし の ふもと を うろついて いる の は、 いったい なにもの だ? 

まいあさ まいあさ、 おおごえ で 『おれ は おう だ ぞ!  おれ は おう だ ぞ! 』 なんて うたう から、

うるさくて しかたがない。 どこか へ おいはらって しまったら どうだ?」

「それ は やからー です よ。 にんげん なの です」 と、 だいち は いいました。

すると うみ が、 はなし に わりこんで きました。

「まったく、 やまさん の いうとおり だ。 だいちくん。 あなた は どうして、 あんな こと を にんげん に ゆるして いるんだ ね。

なに が おう だ。 わたし だって、 やまさん だって、 だいちくん だって、 あいつ の めいれい なんか、 なに ひとつ うけて ない じゃない か」

やからー は、 だいち と、 やま と、 うみ の はなし を ききつけて、 うみべ ヘ やって きました。

そして、 「おれ は にんげん だ。 おう だ!」 と、 さけびました。

はら を たてた うみ は、 おおなみ を たてました。

やま も さけびました。

「だいちくん。 きみ は なぜ、 この やからー とか いう にんげん に、 きのみ や くさのみ を とらせて いるんだ!」

だいち は なるほど と おもって、 やからー に いいました。

「なぜ、 わたし の きのみ や くさのみ を だまって たべる の だ ね。 もう、 これから は ゆるさない よ」

やからー は こまって、 うみ や やま を みまわしました。

けれども、 うみ も やま も だまって います。

とうとう やからー は、 だいち に たのみました。

「きのみ や くさのみ を たべなければ、 わたし は いきて いけない。 おねがい だ。 たべる こと を ゆるして ください」

だいち は、 こたえました。

「よろしい。 ゆるして あげよう。 だが、 おまえ は かわり に、 なに を くれる かね?」

「・・・わかりません。 わたし は なに も もって いない し、 あなた は おおきすぎる。 なに を あげたら いい でしょう?」

「おまえ を」 と、 だいち は こたえました。

おなか が たまらなく すいて きた やからー は、 しかたなく しょうち しました。

やからー は、 あさ から ゆうがた まで じめん を たがやし、 たね を まいて、 だいち の ため に はたらく こと に なりました。

その かわり やからー が、 きのみ や くさのみ を たべる こと を、 だいち は ゆるして くれました。

しごと が おわって から、 さんぽ を したり うたったり、 「おれ は おう だ」 と、 さけぶ こと も ゆるして くれました。

こうして やからー は、 だいち とは なかよく くらせる ように なりました が、 うみ や やま とは、 なかなか、 なかなおり が できません。

けれども、 それから なんねん も なんねん も、 かぞえきれない とし が すぎました。

にんげん は、 もう ひとりぼっち では ありません。

うみ や やま とも、 うまく はなし あえる ように なりました。

こうして にんげん は、 いきる ため には もらう だけ では なくて、 はたらかなくてはいけない こと を しった のです。
 

 

おしまい 

 


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