この おはなし を よみました ♪
『はくちょう の おうじ』 ぐりむ どうわ
はくちょう の おうじ
むかし むかし、 ある ところ で、 ひとり の おんなのこ が もり の なか を さんぽ している と、 いちわ の うつくしい はくちょう が やってきて いいました。
「わたし は そら の くに の おうじ です。 ですが、 わるい まほうつかい に だまされて、 こんな すがた に されて しまった のです。
おねがい です から、 わたし の はね に むすんである いとだま を ほどいて ください」
「まあ、それ は おきのどく に」
おんなのこ が いとだま を ほどいてやる と、はくちょう の おうじ は よろこんで いいました。
「どうも ありがとう。 おれい に そら の くに へ つれて いって あげましょう。
わたし と いっしょに そら の おしろ で なかよく くらしましょう。
さあ、 ほどいた いとだま に つかまって」
そう いって、 はくちょう の おうじ は とびたちました。
おんなのこ が あわてて いと の はし を にぎると、 ふわり と からだ が うきあがり、 はくちょう の おうじ と いっしょに そら へ とびたちました。
ですが とちゅう で いと が ぷつん と きれてしまい、おんなのこ は もり の なか へ おちて しまいました。
「はくちょう さん、 まって!」
おんなのこ が さけび ました が、 はくちょうの おうじ は それ には きづかず、 そのまま そら の おしろ へ とんで いって しまいました。
ひとりぼっち に なった おんなのこ が なきながら もり の なか を さまよって いると、 ひとり の おばあさん が あらわれました。
「おや、どう したんだい? こんな もり の なか を ひとり で」
おんなのこ が わけ を はなす と、 おばあさん が いいました。
「それ は かわいそう に。 では、この 『きん の いとくり ぐるま』 と 『ぶた の あぶらにく』 を あげよう。
きっと、 いい こと が あるよ」
「ありがとう」
おんなのこ は それ を たいせつ に もって、 また あるきだしました。
しばらく いくと、 みち の まんなか に どらごん が たおれていました。
なんだか、とても げんき の ない ようす です。
「どうしたの?」
おんなのこ が きくと、 どらごん が ちいさな こえ で いいました。
「じつ は、 おなか が すいて うごけない のです。
おじょうさん、 どうか、 その ぶた の あぶらにく を くれませんか?」
「ええ いいわ。 その かわり、 わたし を そら の くに の おしろ へ つれて いって くれるかしら」
「よろこんで」
どらごん は おんなのこ から もらった ぶた の あぶらにく を たべて げんき を とりもどすと、 おんなのこ を せなか に のせて そら に まいあがりました。
こうして おんなのこ は、 ぶじ に そら の くに の おしろ に つく ことが できました。
でも、 もん の まえ には おおぜい の もんばん が たっていて、 おんなのこ が いくら たのんでも、 おしろ の なか には いれて くれません。
「こまったわ。どう しましょう」
おんなのこ は しかたなし に、 もり の おばあさん に もらった きん の いとくりぐるま で、 いと を つむぎ はじめました。
すると、 それ を みた おしろ の めしつかい が、 おんなのこ に いいました。
「おじょうさん。それ を くれたら、 こっそり おしろ の なか へ いれて あげます よ」
「ほんとう に? はい、どうぞ」
おんなのこ は めしつかい に きん の いとくりぐるま を やって、 やっと おしろ の なか に はいること が できました。
さて、おんなのこ が おうじ の へや に やってくる と、 おうじ は べっど で ねむって いました。
「おうじ さま、 わたし よ。 おきて ください」
おんなのこ は おうじ を おこそう と しましたが、 おうじ は しんだように ねむっていて、 ぜんぜん おきようと しません。
すると そこ へ、おんなのこ を なか に いれてくれた めしつかい が やってきました。
「これは、ないしょ だけど、おうじさま は わるい まほうつかい に ねむりぐすり を のまされて、 ねむって いらっしゃる のです」
おんなのこ は びっくり。
そこで おんなのこは、 おうじさま の まくらもと に あった ねむりぐすり を、め の さめる くすり と とりかえる と、おうじさま の べっど に かくれました。
その ひ の よる、 おうじさま の へや に わるい まほうつかい が あらわれました。
「よし よし、 よく ねむって いる ね。 このまま なにも たべず に もう しばらく ねて いれば、 おうじ は しんで しまう だろう。
そう なれば、 やがて わたし が おうさま に なれる よ」
そして、ねむっている おうじさま の くち に、ねむりぐすり を そそぎこみ ました。
いえ、そそぎこんだ のは、 おんなのこ が とりかえて おいた め の さめる くすり です。
すると おうじさま は、 たちまち め を さましました。
そこ へ べっど の した に かくれていた おんなのこ が とびだしてきて、 まほうつかい の わるだくみ を すべて はなした のです。
おうじさま は すぐに けらい を よぶと、わるい まほうつかい を つかまえました。
やがて おんなのこ は おうじさま の およめさん に なり、 しあわせ に くらす ことが できました。
おしまい
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