この おはなし を よみました ♪
『はだか の おうさま』 あんでるせん どうわ
はだか の おうさま
むかし むかし、 ある ところ に、 とても きもの の すきな おうさま が いました。
あたらしい きもの を つくって は、 それを きて あるく のが おうさま の たのしみ です。
あるひ の こと、 ふく しょくにん を なのる ふたり の ぺてんし が やってきて いいました。
「わたしたち は、 とても うつくしい ぬの を おる こと が できる のです。
その ぬの は とても ふしぎ な ぬの で、 それで つくった きもの は、 おろかもの、 つまり ばか には みえない の です」
「ほほう。 それは おもしろい。 さっそく ぬの を おって、 きもの を つくって くれ」
おうさま は、 うれしそう に いいました。
(その きもの を きて あるけば、 けらいたち が りこうもの か、 おろかもの か、 すぐ に みわけ が つく わけ だ)
ふたり の おとこ は ぬの を おる のに ひつよう だ と いって、 おうさま に たくさん の おかね を ださせると、 ねっしん に ぬの を おり はじめ ました。
とは いって も、 ほんとう は ぬの を おって いる ような、 ふり を している だけ なの です が。
「いったい、 どんな きもの だろう? はやく きて みたい もの だ」
おうさまは、 その ふしぎ な きもの を はやく きたくて なりません。
そこで だいじん に いいつけて、 きもの が どのくらい できた か を み に やりました。
さて、 ぬの を みに いった だいじん です が、 ぬの を おって いる ふたり の おとこ の そば へ いって みて びっくり です。
「???」
なに も、 みえない のです。
ごしごし、ごしごし。
だいじん は め を こすって みました が、 やはり なに も みえません。
それに きづいた ふたり の おとこ は て を やすめる と、 わざ と らしく だいじん に いいました。
「やあ、 これは だいじん。 どう です、 みごと な ぬの でしょう。
もうすぐ できあがり ます ので、 おうさまに ふさわしい、 りっぱ な きもの に しあげ ます よ」
「いや、 あの、 ・・・うむ、 そうだな。 たしか に みごと な ぬの だ」
だいじん は そう いうと、 あしばや に へや を でていき ました。
「こまった な、 おうさま に なんて ほうこく すれば いい の だろう?」
だいじん は、 なやみ ました。
だいじん は いま まで、 うそ を ついた こと が いちど も ありません。
でも しょうじき に みえない と いえば、 じぶん は おろかもの だ と いう こと に なり、 へた を すれば だいじん を やめ させられて しまいます。
そこで、 おうさま の ところ へ かえる と、
「まこと に みごと な ぬの です。 もうすぐ できあがって、 きもの に ぬう そう です」
と、 うそ を いいました。
「そうか、 それほど みごと な ぬの か」
だいじん が うそ を いった こと が ない ので、 おうさま は だいじん の ことば を しんじ ました。
そして おうさま は、 その ふしぎ な ぬの を じぶん でも みたく なり、 あくるひ、 だいじん を つれて み に いく こと に した のです。
ふたり の おとこ が ぬの を おって いる へや に ついた おうさま は、 ふたり の おとこ に こえ を かけました。
「うむ、 ふたり とも ごくろう。 して、 れい の ふしぎ な ぬの は、 どこ に ある の じゃ な?」
すると ふたり の おとこ は、 おおきな ぬの を もちあげる ふり を して いいました。
「おうさま、 これで ございます。 どう です、 なかなか みごと な ぬの でしょう。 たった いま、 かんせい した の で ございます」
「へっ? ・・・」
なにも みえない ので、 おうさま は め を ごしごし と こすりました。
それを みた ふたり の おとこ は、 すこし いじわるく たずね ました。
「あの・・・、 もしかして、 この ぬの が おみえ に ならない とか」
その ことば に びくっ と して おうさま は、 あわてて いいました。
「いや、 そんな こと は ない ぞ。 なるほど、 たしか に これは すばらしい ぬの だ。
うむ、 じつに き に いった ぞ。 さあ、 はやく きもの に ぬって くれ。
もうすぐ おこなわれる おまつり に は、 ぜひ とも きて あるきたい の だ。 あはははははー」
そして おまつり の ひ の あさ、 ふたり の おとこ が かんせい した きもの を とどけ に きて いいました。
「さあ、 わたしたち が きもの を おきせ します から、 おうさま、 どうぞ はだか に なって ください」
はだか に なった おうさま に、 ふたり の おとこ は できあがった こと に なっている その きもの を ていねい に きせる ふり を しました。
きせ おわる と、 そば に いた けらい たち は、
「まこと に よく にあって、 ごりっぱ です」
「ほんとう に。 それにしても、 みごと な きもの です」
と、 くちぐち に ほめたて ました。
「そうか、 そんな に よく にあう か。 あはははははー」
おうさま は、 いかにも まんぞく そう に いいました。
「さあ、 あたらしい きもの の うわさ を きいて、 まち の もの も はやく みたがって おる。 すぐ に しゅっぱつ させ よ」
おうさま は ぎょうれつ を したがえる と、 いばって、 ゆっくり と あるき ました。
それ を みた おおぜい の まち の ひとたち は、 め を みはり ながら、 わざと おおきな こえ で くちぐち に、
「なんて りっぱ だろう。 とても よく おにあい だ」
「さすが は おうさま。 きもの が よく おにあい だ こと」
と、 いいました。
ほんとう は、 みんな なに も みえて いない の です が、 そんな こと を ひと に しられ たら、 じぶん は おろかもの だ と おもわれて しまいます。
その とき です。
ぎょうれつ を みていた ちいさな こども が、 わらって いいました。
「わーい、 おかしい な。 はだか の おうさま が、 いばって あるいて いる よ」
その こえ を きいた まち の ひとたち も、 くちぐち に いいました。
「やっぱり、 そう だ よ な。 おうさま は、 どう みて も はだか だ よ な」
「そう だよ。 きもの を きて いる ふり を している けど、 おうさま は はだか だよ」
「ああ、 みえ も しない きもの を みえる よう な ふり を して いた、 じぶん が はずかしい」
でも、 もっと はずかしかった のは、 ぺてんし に だまされて はだか で あるいて いた こと に き が ついた おうさま です。
しかし、 いま は たいせつ な おまつり の とちゅう なので、 すぐ に こうしん を とめる わけ に は いきません。
おうさま は はずかしさ の あまり、 まっか に なった かお の まま こうしん を おえる と、 にげる ように おしろ へ かえって いった と いう こと です。
おしまい
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