この おはなし を よみました ♪
『 ごゆっくり 』 にほん の むかしばなし えど こばなし
ごゆっくり
あるとき、 やま の おく の いなか から、 おきゃく が やってきて、 とまる こと に なりました。
あるじ は いえ の もの に、 ふろ を ようい させ、 おきゃく に ふろ を すすめました。
おきゃく は、 よそ の いえ で ふろ に はいる のは、 はじめて です。
「では、 おさき に いただきます」
「どうぞ、 ごゆっくり」
ところが、 おきゃく は、 ふろば に はいって から、 こ いちじかん たって も、 でて きません。
あるじ は しんぱい に なって、 ふろば の いりぐち まで あし を はこびました。
なか から おゆ を つかって いる おと が します。
よほど、 ふろ が すきな おきゃく と みえます。
その おきゃく に、 「はやく あがりなさい」
と、いう の も わるい ので、 あるじ は、 こえ を かけました。
「どうぞ、ごゆっくり」
すると、 おきゃく は おきゃく で、 ふろ と いう もの は、
「ゆっくり はいって いない と、 わるい のでは ないか」 と、 かんちがい を して、
「へい、 ゆっくり と、 いただきます だ」 と、 こたえました。
あるじ は、 おきゃく の へんじ に、 ひとまず あんしん して、 ざしき に もどりました。
けれど また、 しばらく たっても、 おきゃく は ふろ から あがりません。
あるじ は ふたたび、 ふろば に あし を はこんで、
「どうぞ、 ごゆっくり」 と、 こえ を かけました。
おきゃく は それ を ま に うけて、 「へい、 ゆっくり いただいて おります だ」
と、 こたえ、 なお も しんぼう を かさねました。
あるじ が また あんしん して、 ざしき に もどる と、 しばらく して、 おきゃく が えび の ように あかく なって、 ふろ から でて きたのです。
しかも あしもと が ふらついて います。
「ふろ は ごちそう と いうが、 ごゆっくり、 ごゆっくりと、 むりじい させられる のは、 なんとも つらい もんじゃ。
ふーっ、 もう だめ だ」
おきゃくは そのば で ばったり、 たおれて しまいました。
おしまい
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