この おはなし を よみました ♪
『えこー と なるきっそす』 ぎりしゃ しんわ
えこー と なるきっそす
むかし むかし、ぎりしゃ の もり に、 えこー と いう おしゃべり な ようせい が いました。
なかま たち は、 いつも いいます。
「あんなに おしゃべり で なければ、 えこー は いいこ なのに ねえ」
ある ひ の こと、 やきもち やき の へら が おっと の ぜうす の かみ を よび に もり へ いきました。
おっと が ようせい たち と たのしく あそんで いる と、 きいた から です。
とつぜん あらわれた へら に、 えこー は あれこれ と うるさく はなしかけて、 その あいだ に ぜうす と いっしょ に いた ようせいたち を、 うまく にがして しまいました。
それ に きづいた へら は、 たいへん おこりました。
「えこー、 おだまり!
これから は けっして、 じぶん から しゃべって は いけません。
ひと の いった ことば を くりかえす いがい、 しゃべる こと を きんし します」
おしゃべり が いきがい の えこー は びっくり して、 へら に いっしょうけんめい たのみました。
「どうか、 それ ばかり は ゆるして ください。 おねがい です。
もう、 おせっかいな、 おしゃべり は しません から」
でも、へら は ききいれよう とは せず、 えこー は がっかり して、 もり の おく へ すがた を けし ました。
さて、 ある ひ の こと、 なるきっそす と いう せいねん が もり へ やって きました。
「まあ、 なんて すてき な ひと でしょう」
えこー は おもわず、 こかげ から とびだしました。
「みごと な きんいろ の かみ、 あおく すんだ ひとみ。
あんな すてき な ひと、 いま まで に みた こと ない わ」
えこー は、 たちまち なるきっそす に むちゅう に なりました。
「いちど で いいから、 わたし に はなしかけて くれない かしら?」
その ひ から えこー は、 なるきっそす の あと に ついて まわりました。
ある とき、 なるきっそす は やま の なか で みち に まよい、 ともだち と はぐれて しまいました。
なるきっそす は、 おおごえ で ともだち を よびました。
「おーい、 どこ に いるんだい?」
すると えこー が、 まね を します。
「おーい、 どこ に いるんだい?」
それ を きいた なるきっそす が、
「わたし は、ここ だよ」
と、いうと、 えこー は また、
「わたし は、 ここ だよ」
と、まね しながら、 なるきっそす の まえ に とんで いきました。
でも、 ひと の くちまね を する えこー に、 なるきっそす は はら を たてて、 えこー に みむき も しません。
そこで えこー は なきながら、 もり の おく ふかく に かくれました。
そして えこー は あまり かなしんだ ため に、 からだ は どんどん やせていき、 つい には こえ だけ に なって しまいました。
こえ だけ に なった えこー は、 だれか が やま や もり で なにか を いうと、 その ひと と そっくり の こえ で おなじ こと を いう、 やまびこ に なった のです。
ところで えこー の かなしい けつまつ を しった ほか の ようせいたち は、 なるきっそす に しかえし を する こと を かんがえ ました。
「なるきっそす だって、 つらい め に あって みれば いいのよ」
「そう だわ、そう だわ」
「ふくしゅう の めがみさま に、 おねがい しましょう」
ある ひ、 かり の かえり に のど が かわいた なるきっそす は、 とおりかかった いけ の みず を て で すくって のもう と して、 はっ と しました。
「だれ だろう、 この うつくしい ひと は?」
なるきっそす は、 みず に うつって いる じぶん の すがた を、 うつくしい ようせい と おもいこんだ のです。
「なんと すばらしい ようせい だ。 ようせい よ、 いけ から あがって おくれ。 ぼく の まえ に でて きて おくれ」
とうぜん、 みず の なか の ひと は へんじ を しません。
「そと に でてきて もらえない のなら、 せめて、 ぼく が おまえ を ずっと みつめて いよう」
じぶん の すがた に こい を した なるきっそす は、 その いけ から はなれられなく なりました。
そして たべる こと も、ねる こと も わすれて しまった なるきっそす は、 だんだん げんき を なくし、 ひどく やせ おとろえ ました。
そんな すがた を みた えこー は、 じっと して いられません。
おもいきって、 なるきっそす の すぐ そば まで やってきました。
えこー は、 なるきっそす が つく、 ちいさい ためいき も ききもらし ませんでした。
そして すぐに じぶん も、 おなじ ためいき を つきました。
ある はる の ひ の こと、 すっかり やせ おとろえた なるきっそす は、 それでも うつくしい じぶん の すがた が うつって いる いけ に て を のばし ました。
「うつくしい ようせい よ。 きょう こそ は、 ぼく の ところ に きておくれ」
そして そのまま ばらんす を くずして、 なるきっそす は いけ の なか に おちて しまった のです。
もり の なか は、 おおさわぎ に なりました。
いちど は ふくしゅう の めがみ に おねがい を した、 あの ようせいたち も、 みんな なみだ を ながしました。
えこー は こえ を あげて なきながら、なるきっそす の なきがら を さがしました。
でも なるきっそす は みつかり ません でした。
その かわり、 きいろい おしべ の ある しろい はな が、 いけ の ほとり に さいている のを みつけました。
その はな の どこか さびしそう で、 じょうひん な ようす が なるきっそす の かんじ に そっくり でした。
「この はな は、 なるきっそす の うまれかわり だわ」
そのとき から ようせい たち は、 その はな を なるきっそす (すいせん) と なづけて、 たいせつ に した そうです。
おしまい
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