この おはなし を よみました ♪
『 ぶれーめん の おんがく たい 』 ぐりむ どうわ
ぶれーめん の おんがく たい
むかし むかし、 ある ひと が、 いっぴき の ろば を かって いました。
ろば は はたらきもの でした が、 とし を とって ちから が なくなった ために、 しごと が できなく なって しまいました。
そこで しゅじん は、 ろば に えさ を あげなく なった ので、 ろば は さっさ と しゅじん の いえ を にげだした のです。
そして、 ぶれーめん と いう まち に むかって あるいて いきました。
その まち に いけば、 まち の おんがく たい に やとって もらえる かもしれない と おもった から です。
しばらく いきます と、つかれはてた いっぴき の いぬ が、 みち に ねころがって いました。
「おい。 とても つかれて いる みたい だけど、 どうしたんだい?」
ろば の ことば に、いぬ が こたえました。
「いや、 じつは ね。 おれ も すっかり とし を とっちまって、 からだ が ひまし に よわって きた の さ。
かり に でかけても、 むかし の ように えもの を つかまえられない。 それで しゅじん が、 おれ を ころそう と するんだ。
おれ は、 あわてて にげだして きた って わけ なんだが、
…さて、 これから さき、 どうしたら いいもんだろう なあ」
「ふーん。 それなら、 どうだい」 と、ろば は いいました。
「おれは、 これから ぶれーめん ヘ いって、 あの まち の おんがくし に なろう と おもって いる ところ だが、 きみ も いっしょ に いって、 おんがくたい に やとって もらったら どうだ。
おれ は ぎたー を ひく から、 きみ は たいこ を たたきなよ」
それ を きいて、いぬ は すっかり よろこび ました。
そこで にひき は、 いっしょ に でかけました。
すこし あるいて いきます と、 いっぴき の ねこ が みちばた に すわりこんで、みっか も あめ に ふりこめられた ような かお を していました。
「おや、 ねこ の ばあさん、 なに を そんな に こまって いるんだ ね?」
と、 ろば は たずねました。
「わたしゃ、 この とおり とし を とっちまったし、 は も きかなくなった。 それ に、ねずみ なんか を おいまわす より も、すとーぶ の うしろ に でも すわりこんで、のど を ごろごろ やってる ほう が すき なの さ。
ところが そうすると、 うち の おかみさん は わたしを かわ の なか へ ぶちこもう って いう き を おこしたんだよ。
それで わたしゃ、いそいで とびだして きたんだけど、 と いって、 うまい ちえ も ないし、 これから どこ へ いったら いいんだろう ねえ」
「ふーん。 じゃあ、 おれ たちと いっしょ に ぶれーめん ヘ いこう じゃないか。
おまえ さん は よる の おんがく が おとくい だから、 まち の おんがくたい に やとって もらえる よ」
ねこ は、 それ は いい かんがえ だ と おもった ので、 みんなと いっしょ に でかけました。
いえ を にげだしてきた さんびき は、やがて、 と ある やしき の そば を とおりかかり ました。
すると もん の うえ に いちわ の おんどり が とまって いて、 ありったけ の こえ で さけびたてて いました。
「きみは、 はら の そこ まで じーん と ひびく ような こえ で ないて いるが、 いったい どうしたんだい?」
と、 ろば が ききました。
「なあに、 いい おてんき だ と しらせて いる ところ さ」
と、 おんどり は こたえました。
「なにしろ、 きょう は まりあ さま (せいぼ さま) の ひ だろう。
せいぼ さま が おさなご きりすと さま の はだぎ を せんたく して、 かわかそう と いう ひ だから ね。
ところが、 あした の にちよう には おきゃく さん が おおぜい くる。
それで、 なさけしらず の おかみさん が、 この ぼく を すーぷ に して たべちまえ って、 りょうり ばん の おんな に いいつけた のさ。
だから ぼく は、こんや、 くび を きられちまうんだ。
それで せめて、 こえ の だせる いま の うちに と おもって、 のど の やぶれる ほど ないている ところ さ」
「おい、 おい、 なに を いっているんだい」
と、 ろば が いいました。
「ころされる のが わかっていて、なぜ にげださない?
いや、 それ より おれたち と いっしょ に きたら どうだい。
おれたち は ぶれーめん ヘ いく ところ だ。 しぬ くらい なら、 それ より も まし な こと は どこ へ いったって ある さ。
だいいち、 きみ は いい こえ だ。
おれたち が いっしょ に おんがく を やりゃ、たいした もんだ ぜ」
おんどり は、 この もうしで が たいへん きにいりました。
それで こんど は、 よんひき そろって でかけました。
けれども、ぶれーめん は とおくて、 いちにち では とても いけません。
やがて ゆうがた に なり、 いっこう は、 と ある もり で よる を あかす こと に きめました。
ろば と いぬ は、 おおきな き の した に ごろり と よこ に なりました。
ねこ と おんどり は、 き の えだ に のぼりました。
き の てっぺん を ねばしょ に きめた おんどり は、 ふと、 とおく の ほう に、 ひ が ちらちら している のを みつけました。
そこで なかま に こえ を かけて、 そう とおくない ところ に いえ が ある と いいました。
「それじゃ、 そこ へ いく と しよう。 どうも、 ここ の ねごこち は よくない から ね」
と、ろば が いい、 みんな は、 あかあか と あかり の ついている いえ の まえ まで きました。
いちばん、 せ の たかい ろば が、 まど の そば へ いって、 なか を のぞいて みました。
「なに が みえる ね? じいさん」
と、おんどり が ききました。
「なに が みえるか って。
・・・これ は すごい。 うまそう な くいもの や のみもの が、 いっぱい ならべて ある テーブル が あって、 その まわり に どろぼう ども が すわって いる ぞ」
「くいもの か。 そいつ を いただきたい もんだ」
と、おんどり が いいました。
そこで どうぶつたち は、 どろぼう を おいはらう には、 どうしたら いいだろうか と そうだん を はじめました。
そして、 いろいろ そうだん した あげく、 うまい ほうほう が みつかりました。
まず、 ろば が まえあし を まど に かけて、 いぬ が その せなか に とびのる。
そのまた うえ に ねこ が のぼり、 さいご に おんどり が とびあがって ねこ の あたま の うえ に とまる。
じゅんび が できる と、 みんな は いっせいに おんがく を やりはじめ ました。
ろば は、 ひひーん。
いぬ は、 わんわん。
ねこ は、 にゃーにゃー。
おんどり は、 こけこっこー。
と、 なき さけびました。
それから まど を つきやぶって、 よんひき が いっせい に へや の なか へ とびこみ ました。
どろぼう たち は、 びっくり して とびあがり ました。
おばけ が とびこんで きた に ちがいない と、 おもった のです。
みんな は ふるえあがって、 もり の なか へ いちもくさん に にげて いきました。
「よし よし、 うまく いった ぞ。 さあ、 ごちそう を たべよう」
よんひき は てーぶる に ついて、 のこって いた ごちそう を おいしそう に たべました。
それ こそ、 おなか が はじける くらい、 いっぱい たべました。
よんひき は ごちそう を たべおわる と、 いえ の あかり を けして、 それぞれ ねごこち の いい ばしょ を さがし ました。
ろば は、 わら の つみあげて ある うえ に、
いぬ は、 と の うしろ に、
ねこ は、 かまど の うえ の あたたかい はい の そば に、
おんどり は、 てんじょう の よこぎ の うえ に、
みんな、 つかれきって いた ので、 すぐ に ぐっすり と ねこんで しまいました。
さて、 まよなか に なって、 どろぼう たち が かえって きました。
「いや に しずか だな。
もう、 おばけ は どこか に いった のかも しれん ぞ」
そこ で どろぼう の かしら は、 てした の ひとり に ようす を みに いかせました。
てした が いってみます と、 いえ の なか は しーん と しずまり かえって います。
そこ で だいどころ に はいって、 あかり を つけよう と しました。
ところが そのとき、この おとこ は くらやみ に ひかって いる ねこ の め を すみび だ と かんちがい して、 その め に いきなり まっち を おしつけて しまいました。
「ふぎゃー!」
びっくり した ねこ は、 どろぼう の かお を おもいっきり ひっかきました。
どろぼう は、 あわてて うらぐち から にげだそう と しました。
ところが、 そこ に ねていた いぬ の しっぽ を ふんで しまった ので、 いぬ に あし を がぶり と かまれて しまいました。
ますます あわてた どろぼう は にわ へ とびだして、 わら の つんである そば を かけぬけよう と しますと、 こんど は ろば に けとばされて しまいました。
おまけ に おんどり も、 この さわぎ に め を さまして、
「こけこっこー!」
と、 さけびながら、 どろぼう の あたま を くちばし で つつきます。
ぼろぼろ に された どろぼう は、 なんとか、 かしら の ところ へ にげかえりました。
「おかしら、 あの いえ には、 おっそろしい まじょ が います。
いきなり、あっし に いき を ふっかけた か と おもうと、 ながい ゆび で あっし の かお を ひっかき やがったん で さ。
と の まえ には おとこ が たっていて、 ないふ を あっし の あし に つきさしやがる。
にわ には くろい かいぶつ が ねころんで いて、 こんぼう で あっし を ぶんなぐります。
おまけ に やね には さいばんかん が いて、 『その わるもの を つれてこい』 と、 どなりながら、 あたま に ぺん を つきたてる んです。
とにかく、 あっし は、 ほうほうのてい で にげて きました」
その はなし を きいた どろぼう たち は、 にどと この いえ には ちかづき ませんでした。
いっぽう、 よんひき の どうぶつたち は、この いえ が きにいってしまい、 ぶれーめん には いかず に、 この いえ で ずっと くらした と いうこと です。
おしまい
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