あみがさ　の　わすれもの

そそっかしい　さむらい　が、　たび　の　とちゅう　の　ちゃみせ　で　ひとやすみ　して　いました。

「ひごろ　から　あわてもの　と　わらわれている　が、　　これから　は　なにごと　も　おちつき、　けっして　わらわれないよう　に　しよう」

そう　こころがけた　さむらい　は、　いま　の　ところ　しっぱい　も　なく　たび　を　つづけて　います。

「どれ、　そろそろ　でかける　と　する　か。

まずは、　おちついて　かくにん　だ。

うま　に　つけた　にもつ　は、　・・・ある。

たいじ　な　かたな　は、　・・・うむ、　だいじょうぶ。

とも　の　けらい　は、　・・・ちゃんと　つれて　おる

そして　みせ　の　だいきん　は、　・・・よし、　まちがい　なく　はらった　し、　さいふ　も　わすれて　おらぬ」

すべて　を　かくにん　した　さむらい　は、　ちゃみせ　を　あと　に　しました。

それから　しばらく　いく　と、　さむらい　は　ちゃみせ　に　かけ　もどり　ました。

「すまぬ。　せっしゃ　と　した　こと　が、　あみがさ　を　わすれた。

ここ　に、　あった　だろう」

すると　ちゃみせ　の　ひと　が、　くすくす　と　わらい　ながら　さむらい　の　あたま　を　ゆびさし　ました。

「あみがさ　なら、　あたま　に　つけて　おいで　です　よ」

あたま　に　て　を　やった　さむらい　は、　ばつ　が　わるそう　に　いいました。

「ややっ。　これ　は、　おもいがけない　ところ　に　あった　もの　だ」

そそっかしい　の　は、　かんたん　には　なおりません　ね。

おしまい